ピーター・F・ドラッカーと伊藤雅俊氏の交友は、クライアントとコンサルタントという関係で始まりました。しかし、二人が互いを理解し合うまでに多くの時間は必要ありませんでした。以降、30年以上にわたって彼らの友情は続き、ドラッカースクールに多大な影響を与えました。

伊藤氏は、小売業で世界第2位を誇るセブン&アイ・ホールディングスの創設者で名誉会長を務めています。彼は東京の小さなアパレル店を、年商280億ドル以上の大企業へと育て上げました。

ドラッカーと知り合ったばかりの頃、2人はアメリカや日本で度々会っては、世界や日本の経済情勢に始まり、伊藤氏自身が進むべき方向性について、熱い議論を交わしました。当時ドラッカーは「伊藤氏はとても私を信頼してくれている。彼の成功は間違いない」と語っていました。

当時セブン&アイ・ホールディングス(当時は㈱イトーヨーカ堂)は、それぞれが独自の事業を行う個別企業の集合体として組織されていました。ドラッカーからのアドバイスは、あまりにも大きな拡大を避けること、そしてそれぞれの会社が独自のマネジメントができ、自立できる大きさにとどめることでした。伊藤氏はその助言を経営に活かし、堅実な経営を続けました。その結果、現在では日本で約20,000店のセブンイレブン店舗を有し、加えて北アメリカに8,300店舗、さらには1,000以上の百貨店、レストラン、専門店、スーパーマーケット等を有するグループ企業へと成長するに至りました。

ドラッカーは伊藤氏を「世界でも有数の起業家やビジネスビルダーの一人」と評しました。ドラッカー・スクールのサポーターでもある伊藤氏は、スクールの運営をサポートするために 2,300万ドルを寄贈しました。彼のご子息である順朗氏は1989年にドラッカーMBAを取得。現在も日本のドラッカー同窓会のアクティブメンバーとしてご活躍です。